初めての馳名商標認定!「UNDER ARMOUR」商標に全面的保護が認められる

CHANG TSI
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ろくがつ23
2026

最近、北京市鋳成法律事務所の付同傑、羅洋弁護士が代理したアンダーアーマー有限公司(「アンダーアーマー社」)対国家知的財産権局、第三者嘉楽宝(極東)有限公司(「嘉楽宝社」)の商標権無効審判請求行政紛争案件について、北京知的財産権法院による一審審理の結果、全面勝訴した。本件は画期的な意義を持っている:「UNDER ARMOUR」商標は中国行政訴訟手続において初めて馳名商標として正式に認定され、保護範囲は三大ニース区分を跨ぐ形で保護範囲が拡張され、第34類「タバコ、タバコ箱」及び第32類「ビール、ジュース」などの商品まで保護が及んだ。馳名商標認定及び区分を跨ぐ保護分野における鋳成法律事務所の専門的実力を十分に明らかにした。

一、案件背景

(一)係争商標

南通市港閘区華盛赤木家具工場(「元登録者」)は2019年に国家知的財産権局商標局に第37063813号、第37068004号の2件の商標出願を提出し、それぞれ第34類「タバコ、タバコ箱、葉巻タバコ箱」などの商品及び第32類「ビール、ジュース、ペットボトル入り飲料水」などの商品を指定した。

上記2件商標はいずれも「UNDER ARMOUR」のアルファベット表記と「鎧騎軍」の漢字組み合わせで構成され、その核心識別要素「UNDER ARMOUR」はアンダーアーマー社が先行登録した第3463214号「UNDER ARMOUR」の商標と文字構成、呼称及び全体の視覚効果において高度に近似しており、関連公衆が商品出所の混同誤認を生じさせたり、アンダーアーマー社との間に特定の関連があると誤認させるおそれがある。

(二)引用商標の知名度

アンダーアーマー社は世界をリードする専門スポーツ用品企業であり、傘下の「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」ブランドは世界のスポーツウェア市場において高い評判を有する。その第3463214号「UNDER ARMOUR」商標は2005年2月14日に登録され、指定商品は第25類「服装、シャツ、帽子、Tシャツ」などである。長年にわたる事業展開と継続的な投入を経て、当該商標は中国市場において極めて高い知名度と評判を築き上げ、関連公衆の間に安定したブランド認知と強い市場連想を形成し、「商標法」第14条の馳名商標認定に関する各基準を完全に充足している。

(三)商標譲渡行為

2023年7月20日、上記2件係争商標は国家知的財産権局の承認を得て、本件第三者の名義に譲渡された。調査結果、当該2件商標は譲渡後も実際の商業使用されておらず、現在も放置されている状態にある。第三者は商事主体として、譲受前に当該商標が関連市場に有する知名度・影響力を認識し得たにもかかわらず、なお譲受を行い、かつ譲受後に実質的な商業使用を一切行わないことで商標資源を占有し続けた。これは商標制度の基本的な趣旨に反するだけでなく、関連公衆による商標資源の合理的利用を制限し、商標登録秩序及び市場競争環境に悪影響を及ぼした。

(四)無効審判請求及び訴訟対象裁定

馳名商標の専用権とブランドの核心的利益をを守り、ブランドの識別力の希釈と営業信用の毀損を効果的に防止するため、アンダーアーマー社は 2024 年、国家知的財産権局に商標無効審判請求を提出し、係争 2 件の商標登録が『商標法』第 13 条第 3 項(馳名商標の複製・模倣)及び第 44 条第 1 項(その他不正な手段による登録取得)の規定に違反すると主張した。しかし、2025年4月30日、国家知的財産権局は無効審判理由が不成立として、2件係争商標の登録を維持する裁定を下した。

(五)行政訴訟の提起

アンダーアーマー社は上記裁定に不服とし、北京市铸成法律事務所に委任し、付同杰、羅洋、崔彦博弁護士で構成される専門代理チームが 2025 年 6 月 11 日、北京知的財産権法院に行政訴訟を提起した。同法院は 2025 年 9 月 9 日に訴訟を受理し、2025 年 11 月 25 日に公開法廷審理を実施した。

法廷において代理弁護士チームは、①「UNDER ARMOUR」商標が馳名商標に該当するか、②係争商標が馳名商標の複製・模倣に該当するか、③係争商標の登録が不正な手段によるものか、という三大核心的争点に絞って代理意見を詳述し、完備した証拠連鎖を提出した上、国家知的財産権局の抗弁主張に対し一つひとつ的確に反駁した。

審理を経て、北京知的財産権裁判所は全面的に当方の代理意見を採択し、一審判決において、国家知的財産権局が各係争商標に対して下した訴訟対象裁定(商評字[2025]第131847号、商評字[2025]第131845号)を取り消し、改めて無効審判裁定を下すように判決した。各当事者はいずれも法定期限内に上訴しておらず、判決はすでに法的効力を生じ、当方の代理業務は全面的に勝訴した。

二、典型的な意義と核心論証経路

商標権利化行政紛争の分野では、馳名商標認定、区分をまたぐ保護の適用、悪意登録の認定は常に案件の核心的な紛争の焦点であり、勝負の行方を決める重要な要素でもある。本件は「初馳名商標認定+区分を跨ぐ保護+悪意認定」の三位一体の典型案例として、三つの論点が相互に関連し段階的に積み上がる形で勝訴の核心論理体系を形成しており、業界内の同種事件の処理に重要な参考価値を有する。

(一)馳名商標認定:勝訴の核心前提

「UNDER ARMOUR」は強い識別力と固有の識別効力を備えており、馳名商標認定の主張における先天的な優位性を形成している。代理弁護士チームは『商標法』第 14 条及び関連司法解釈に基づき、商標使用継続期間、市場シェア、広告宣伝の規模・地域的範囲、業界における評価、関連公衆の認知度など多角的視点から、完備かつ確固たる証拠連鎖を体系的に構築し、「UNDER ARMOUR」商標が第 25 類衣料商品において高度な知名度と安定した市場認知を獲得していることを全面的に立証し、裁判所に当該商標を馳名商標と認定させることに成功した。
特筆すべき点として、本件は中国の行政訴訟手続において「UNDER ARMOUR」商標が明確に馳名商標と認定された初の事例であり、重要な先例的価値を持つと同時に、区分をまたぐ保護実現に不可欠な法的前提を提供した。

(二)商品関連性論証:区分を跨ぐ保護の重要な道筋

『類似商品・役務区分表』によれば、係争商標の指定使用商品である第 34 類たばこ、第 32 類飲料は、馳名商標の指定使用商品である第 25 類衣料と区分が異なり類似商品に該当しないため、形式的には馳名商標の区分を跨ぐ保護に大きな障壁が存在した。

これに対し代理弁護士チームは『最高人民法院による商標権利化行政案件の審理に関する若干問題の規定』第 13 条を引用し、馳名商標の区分を跨ぐ保護においては、引用商標の識別力・知名度、商標の類似度、商品の関連性、関連公衆の重複度など実質的要素を総合的に考慮すべきであり、『類似商品・役務区分表』の区分枠組みに機械的に拘泥すべきではないと重点的に論じた。

本件の具体的状況に照らすと、係争商標が指定するたばこ、飲料と「UNDER ARMOUR」の指定商品である衣料はいずれも日常消費分野に属し、ターゲット消費者層が高度に重なり、関連公衆の範囲が広く交差している。係争商標が使用された場合、関連公衆は当該商標と馳名商標「UNDER ARMOUR」の間に特定の関連関係が存在すると誤認させ、馳名商標の識別力が希釈されブランド営業信用が毀損される。上記の論証ロジックは最終的に裁判所に採用され、区分の壁を突破し馳名商標の全面的な区分を跨ぐ保護を実現した。

(三)悪意認定:勝訴を補強する有力な裏付け

『最高人民法院による商標権利化行政案件の審理に関する若干問題の規定』第 24 条、第 25 条によると、欺瞞的手段以外の方法で商標登録秩序を攪乱し、公共資源を不正に占有する行為は『商標法』第 44 条第 1 項に定める「その他不正な手段」に該当する。また引用商標が高い知名度を有する場合、係争商標の出願人または譲受人が正当な理由なく係争商標を譲受した事実があれば、司法実務上主観的悪意があると推定可能である。

代理弁護士チームは元登録出願人及び嘉楽宝社の商標登録履歴資料を全面的に整理し、他人の有名ブランド商標を大量に複製・冒認出願する恒常的行為が存在する事実を確認した。嘉楽宝社が「UNDER ARMOUR」商標の知名度を認識しながらも係争商標の譲受を継続した客観的事実と併せ、論理的に隙のない悪意認定の証拠連鎖を構築し、係争商標の登録行為が「その他不正な手段による登録取得」に該当することを有力に立証、当方の勝訴基礎をさらに強固なものとした。

三、まとめ

本件全体を通じ、代理弁護士チームは核心的争点に立脚し、法令・司法解釈を的確に引用し、同種案例の統一的判断基準・審査統一原則を十分に活用した。緻密な証拠整理、厳格な法的論証、的確な法廷での対抗を通じ、被告及び第三者の抗弁主張を効果的に反駁し、最終的に裁判所に当方の訴訟請求を全面的に支持させ、法的効力を持つ判決により事件が円満に終結した。

本件の勝訴には3つの面の典型意義を持っている:

1.当事者にとって、中国行政訴訟手続における本「UNDER ARMOUR」商標初の馳名商標認定を実現し、不利な行政裁定を取り消すことで係争商標の最終的な無効に確固たる基礎を築いた。ブランド識別力の希釈・営業信用毀損リスクを効果的に遮断し、アンダーアーマー社の中国及び世界スポーツ用品市場におけるブランド競争優位性をさらに強固にした。
2.業界にとって、「初馳名商標認定+区分を跨ぐ保護+悪意認定」の裁判ロジックフレームワークを明確化し、有名商標を悪意的にストック・先取り登録する市場投機行為に強力な牽制効果を発揮した。商標登録秩序の適正化に資するとともに、業界内の同種権利者による権利救済に極めて参考価値の高い実務モデルを提示した。。
3.司法実務にとって、馳名商標に対する司法的保護の強化をさらに推し進め、商品関連性の判断において『類似商品・役務区分表』を機械的に適用すべきではなく、消費対象、販売ルート、関連公衆の認識など実質的要素を総合的に考慮するべきことを明確にした。公平かつ公正で秩序ある知的財産権司法保護システムの構築に有益な司法実務事例を提供した。

 

付同傑
パートナー | 弁護士
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