中国・集積回路回路配置保護条例が25年ぶりに全面改正:主要な変更点の解説

CHANG TSI
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くがつ11
2026

2026年7月23日、国務院は第842号令により改正後の「集積回路回路配置保護条例」を公布し、2026年10月15日から施行されます。本条例が2001年に公布されて以来、初の全面改正です。国家知識産権局および司法部の担当者は、今回の改正が三つの方針に沿うものであることを明らかにしています。すなわち、知的財産強国戦略の施策を具体化すること、登録・保護・管理における顕著な問題に焦点を当てて制度を整備すること、そして関連する法令および国際条約との整合を図ることです。

中国で集積回路の設計、製造またはライセンス事業を行うあらゆる企業にとって、今回の改正は制度の構造的な再編を意味します。以下、実際に変更が生じた内容を主題ごとに整理します。

1、保護対象と保護を受ける主体の双方が拡大。新条例第3条は、光子、量子等の機能を有する集積回路の回路配置も保護の対象となり得ることを新たに規定しました。第4条は、保護の資格を有する外国の主体を「外国人」から外国企業、外国のその他の組織にまで拡大しています。

2、強制代理制度が初めて法定化。新設の第5条は、中国国内に常居所または営業所を有しない外国人、外国企業または外国のその他の組織は、法に基づき設立された専利代理機関に委託して登録および関連事務を処理しなければならないことを明確にしました。代理機関は未公開の内容について守秘義務を負います。中国国内に常居所または営業所を有しない多国籍企業にとって、これは業界慣行ではなく法定の義務です。

3、登録審査が実質的な誠実性審査へ。新設の第20条は真実の創作を求め、虚偽の行為を禁止しています。第22条および第24条は独創性に関する声明を法定の必要書類と位置づけました。第27条は方式審査における補正通知の手続を体系的に規定しています。第30条は取消しの仕組みを大幅に拡張し、何人も不当な登録の取消しを請求できることとしました(旧条例ではCNIPAが職権により取り消すことのみが認められていました)。第31条は、取消し後は専有権が初めから存在しなかったものとみなされることを明確にし、第33条は権利の回復の仕組みを新設しています。旧条例にはこれに関する規定が一切ありませんでした。

4、賠償制度が補償から懲罰へ。第46条は賠償額の算定方法を再構成しました。実際の損害または違法所得により確定し、いずれも確定が困難な場合はライセンス料の倍数を参照します。故意かつ情状が深刻な侵害については、1倍から5倍の懲罰的賠償を科すことができ、権利行使のための合理的支出も含むものとされます。あわせて新設の第9条により独占禁止の制度が本条例へ正式に導入され、非自発的ライセンスの発動事由も「不正競争行為」から「独占行為」へ改められ、独占禁止法の執行体系との整合が図られました。

5、商業化のための手段を新設。第35条は、ライセンス契約について発効後3か月以内にCNIPAへ届け出ることを求めるとともに、回路配置の専有権に対する質権設定登記の制度を初めて設けました。企業が中核となる回路配置資産により資金調達を行うための適法な道筋が開かれたことになります。外国の主体へ専有権を譲渡する場合には、関連法令に従い特定の手続を経る必要もあります。第36条は、共有者による権利行使の原則を初めて明確にしました。

6、国際的な対等措置に関する条項を新設。第53条は、集積回路の回路配置の保護において中国に対し差別的措置を講ずる国または地域に対し、中国が相応の対等な対抗措置を講ずることができる旨を規定しています。

企業が見落としやすい三つの現実

既存登録に対する遡及的リスクが著しく高まった。第30条第2項が「何人も取消しを請求できる」道を開いたことにより、過去20年余りにわたり方式審査に基づいて取得され、必ずしも真実の創作活動と一対一に対応しているとは限らない既存の登録、とりわけハイテク企業の認定、専項資金または産業資格の申請のために一括して行われた登録は、紛争、入札、資格審査といった場面で競合他社から挑戦を受ける現実的な可能性に初めて直面します。第31条の遡及効はさらに、登録がひとたび取り消されれば、それまで当該登録に基づいて受領したライセンス料や、既に得た侵害賠償金の返還を求められる可能性があることを意味します。

懲罰的賠償は前例のない強度だが、賠償額の算定自体はなお行き詰まる可能性がある。第46条は、専利法や商標法のような法定賠償の受け皿となる条項を設けていません。実際の損害、侵害による利益、ライセンス料のいずれもが判明し難い場合、理論上は「侵害は成立するが賠償額を算定できない」という事態が生じ得ます。半導体の侵害は証拠収集自体が困難であるため、ライセンス料に関する証拠(既存のライセンス契約、比較可能な取引、業界の料率の相場)を訴訟段階で用意するのではなく、あらかじめ体系的に整理しておく必要があります。

登録の時期の選択それ自体が権利化戦略である。現行の「集積回路回路配置審査及び執法指南(試行)」によれば、出願日前にまだ商業的利用に供されていない登録出願については、回路配置の総面積の50%を超えない範囲で秘密情報を含めることができます。一方、既に商業的利用に供された後に出願する場合は、秘密情報を含めることができず、集積回路のサンプルを提出しなければなりません。言い換えれば、「先に登録し、後に商業化する」ことで、企業は回路配置の最大半分について非公開の権利を留保できますが、順序が逆になれば、この保護はもはや得られません。

企業が今すぐ着手すべき六項目

  • 中国国内に常居所または営業所を有しない海外の関連会社について、第5条の要求に従い専利代理機関へ委託済みかを確認する
  • 既存の回路配置登録について安定性の点検を一度実施する。登録内容と実際の創作活動との対応関係を逐項確認し、とりわけ過去に資格申請や専項資金のために一括で行った登録に注意を払い、第三者から取消しを請求されるリスクを評価するとともに、権利の回復の仕組みを援用し得る進行中の案件がないかを併せて洗い出す
  • 設計記録等の独創性に関する証拠を体系的に保存し、独創性声明および第三者からの取消しの挑戦に備える
  • ライセンス料に関する証拠(既存のライセンス契約、比較可能な取引、業界の料率の相場)をあらかじめ整理し、将来の侵害賠償額の算定の根拠とする
  • 既存のライセンス契約について届出義務の有無を確認し、回路配置を担保とする資金調達の実行可能性を評価する
  • 職務創作に関する報奨・報酬のコンプライアンス上の欠落を点検する。多くの集積回路設計企業は現在、特許の次元でのみ報奨制度を設けており、回路配置までは及んでいない一方、「科学技術成果転化促進法」における報奨および報酬に関する基準は既に施行されている

 

特記事項:2年間の登録猶予期間の規則は今回の新設ではありません(旧第17条がそのまま維持され、第26条へ番号が改められたものです)。もっとも、企業に見落とされがちな点であるため、今回のコンプライアンス点検の重点に含めることをお勧めします。

あわせてご留意ください。本条例に付随する「実施細則」および「審査及び執法指南」も現在同時に改正作業が進められており、なお意見募集の段階にあり施行には至っていません。独創性声明の記載要件、取消し手続の運用上の詳細等は、今後さらに明確化される可能性があります。当事務所では国家知識産権局の正式公表を継続的に注視し、随時ご提案を更新してまいります。

 

傅林海
コンサルタント | 弁護士 | 特許代理人
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