CHANG TSI
Insights
知的財産権保護への注目が高まる今、特許侵害訴訟は企業の市場競争における重要な法的武器となっています。しかし、同一特許権者が全国にわたり一企業に対して大量の特許侵害訴訟を提起する状況では、企業は高額な損害賠償リスクに直面するだけでなく、各地裁判所の判決不一致による経営阻害というシステミックリスクにも直面します。典型的な大量特許侵害訴訟案例において、鋳成法律事務所は管轄権異議・特許無効審判・非侵害抗弁を組み合わせた総合戦略により、全案件で全面勝訴を達成しました。これにより、イノベーション主体が同種紛争に対応するための実務的参考モデルを提示しています。
大規模な特許侵害紛争において、某特許権者(NPE・非実施主体)は南京、杭州、上海、広州、深セン、景徳鎮、銀川など全国複数の区域において、一企業に対し 50 件超の特許侵害訴訟を提起しました。その後特許権者が一部起訴を取り下げ、一審判決に至った案件は 31 件にのぼります。
これらの案件は同一シリーズの特許・同一製品ラインに関するものであるにもかかわらず、別々の裁判所で審理されるため、判決内容が不一致するリスクが生じていました。一部の裁判所で侵害成立と認定されれば、企業の正常な生産経営に多大な打撃を与える状況でした。この複雑な状況を受け、被告企業は鋳成法律事務所に全訴訟案件及び特許無効手続きを一括委任しました。鋳成代理チームは手続面・実体面を並行して推進し、最終的に一審全案件で勝訴判決を獲得しました。二審においても最高人民法院は当該 NPE の上訴を全て却下し、全案件の全面勝訴が確定されました。
1. 分散訴訟による判決不一致リスク
特許権者は全国各地で一斉に訴訟を提起し、「多地域同時展開」の戦略で企業に最大の圧力をかけようとしました。各地裁判所の特許請求範囲解釈や侵害認定基準に齟齬が生じれば、「こちらでは非侵害、あちらでは侵害」という窮地に陥り、事業の法的安定性が完全に失われる恐れがありました。
2. 特許保護範囲が広く侵害リスクが高い
係争特許の請求項は保護範囲が広く、クライアント製品の複数の技術的特徴をカバーしていました。特許の保護範囲を適切に絞り込めなければ、非侵害抗弁は極めて困難となり、侵害認定リスクが大幅に高まる状況でした。鋳成は全係争特許に対し技術・法律両面から徹底分析を行い、国家知的財産局に特許無効審判請求を提出しました。保護範囲が過度に広い一部請求項について無効審判を勝ち取りました。
3. 侵害認定の技術的複雑さ
特許侵害の比較には複雑な技術詳細が伴い、対象製品と特許技術構成の本質的な相違を裁判所に明確に示すことが、案件の行方を左右する鍵となります。鋳成は無効審判で得られた有利な認定を最大限活用し、主要な技術特徴を「機能的特徴」と解釈することで非侵害抗弁の論理体系を構築しました。詳細な技術比較意見書を裁判所に提出し、いずれも採択され、一審全案件においてクライアントの全製品が係争特許の保護範囲に入らない旨の認定を獲得しました。
一審・二審を経て、最高人民法院は終審裁定・判決を言い渡し、特許権者の上訴を全て却下し、一審の非侵害認定を維持しました。これにより全案件は被告企業の全面勝訴で結審しました。
本結果はクライアント製品の適法性と市場地位を確認しただけでなく、同種NPE訴訟に明確なシグナルを発しています。手続面と実体面を並行した体系的な対応戦略により、被被告企業は大量特許侵害訴訟がもたらす法的リスクを完全に払拭することが可能であります。
1. 管轄権異議:受動的な応訴から主導的な局面構築へ
広域に分散した大量訴訟において、適時に管轄権異議を提出し、案件の集中審理を勝ち取ることは、判決の不一致を回避し応訴コストを抑える第一歩です。本件では最高人民法院の判断により、全国に分散した複数案件を南京中級人民法院に集中管轄させる指定管轄が認められ、同種案件に重要な参考になります。
なお、特許権者の一連の権利救済を集中管轄させることは常態ではありません。本件では代理弁護士が最高院に対し、係争特許の性質、特許権者の権利行使に含まれる悪意、相反する判決が生じる蓋然性の高さを詳述し、最終的に指定管轄が認められました。
2. 無効審判:受動的対応から核心的裏付けへ
特許無効審判は本件において極めて重要な役割を果たしました。特許の保護範囲を適正に限定しただけでなく、主要技術特徴に関する有利な認定を確保し、その成果を訴訟段階における非侵害抗弁の根拠として活用し、勝訴を決定づける支えとなりました。
また係争特許はその後の行政訴訟において、最高人民法院より以下の法理が確立されました。
「IoT 通信技術案の進歩性判断において、係争技術が既存の技術手段を単純に組み合わせ・再構成され、ネットワークの常設的設定や信号の送受信・読み取り・処理といった汎用的手法により、ハードウェア機器に単体又は統合的な通常通信機能を付与し通信範囲・機能の拡張を図るに過ぎず、新たな技術手段の導入や新たな技術課題の解決がなく、既存技術との機能に実質的な相違がなく、全体として予測不能な技術効果も生み出していない場合、進歩性を有すると認定するべきではない」
3. 手続と実体の連携推進
本件の成功は、手続面と実体面が密接に連携した点がポイントになります。管轄権異議は審理裁判所の統一を実現し、判決不一致のリスクを回避しました。特許無効審判は特許権の保護範囲を適正化し、非侵害抗弁の土台を整備しました。非侵害抗弁が最終的に案件の勝訴を確定させました。三者は相互に連関し、いずれも欠かせない戦略です。
4. NPE 訴訟への体系的対応
NPE(非実施主体)が提起する大量特許訴訟に対し、企業は「個別対応」の受動的思考を捨て、集中管轄+特許無効審判+非侵害抗弁の体系的戦略を採るべきです。本件の全面勝訴は、国内企業が同種大量訴訟に対応するための模範的な実践モデルとなります。
知的財産権保護の強化が進む中、特許訴訟は市場競争における高頻度リスクとなっています。
本件において鋳成弁護士チームは、的確な手続判断、堅固な技術分析、体系的な戦略配置を通じ、数十件に及ぶ案件で手続・実体・技術の多重難関を突破し全面勝訴を達成しました。これによりクライアントの多大な商業的利益を守り、核心製品の市場地位を維持しただけでなく、複雑な特許訴訟分野における鋳成の深い実務知見と総合的な実力を改めて証明しています。今後激化する知的財産権競争を見据え、鋳成は専門性を基盤にクライアント本位の姿勢を堅持し、イノベーション主体が複雑な法的環境の中で安定して事業を展開できるよう支援してまいります。